現在、遺伝子工学の進歩からウイルスの遺伝子(DNA)構造さえ分かれば、そのコピーにあたるmRNA(メッセンジャー アール エヌ エー)を人工的につくる事が出来る時代になりました。人工的に作ったmRNAは大変壊れやすく熱に弱いので、脂質の膜に包んでマイナス何十度の世界で保管されます。今回、ファイザー社とモデルナ社は新型コロナウイルスのmRNAを作り出し、その一部を切り取ってワクチンとして製品化させました。実は昨年1月に新型コロナウイルスの遺伝子(DNA)構造は解明され、翌月にはワクチンの試作品が作られていましたので、今の技術をもってすれば1~2か月でmRNAワクチンを作る事ができる時代になったのです。もちろん、安全性や効果を確かめてから製品化はされます。それでも約1年で承認された今回のワクチンは信じられないスピードで完成した、驚くべきワクチンなのです。正直に言うと、1年でワクチンが作られたことに対し、私は映画を見ているような気分でした。気になる、効果・安全性についてはまた次回にしたいと思います。

池上幸仁診療所